弓の故障・破損を防止するには?

Q4.弓の破損・故障を防ぐために、注意すべき点を教えてください。

 弓の破損・故障で代表的なものは、笄(こうがい)と首折れです。このうち笄は概ね修理可能ですが、性能は低下することもあります。首折れに至っては修理不可能でいったん起こしてしまうと、弓師の手でもどうにもなりません。
 ただし、こうした破損・故障は日頃の配慮と工夫によって未然に防ぐことができます。常に弦の通り・上下の成りのバランス・張り高を整え、また筈こぼれをしないように中関をしっかりと作る、空筈(矢筈が中関から外れた状態で離れること)をしない、さらに矢束に応じた長さの弓を使用することなどを心がけて下さい。

笄の防止策

 強く握り締め、捻り込む行射の場合、上成に無理な負担がかかります。上成が弱くなることで上下のバランスが崩れ、笄を起こし、デキ弓にもなっていきます。
 弦跡が真ん中および、やや右に付く方は先手の握りが堅く、笄を起こす可能性の非常に高いといえます。こうした方は、デキ弓になりやすい使い方をしているともいえますので、射技の改善や工夫も必要です。
 矢束を長く取る方は、当然長い弓を使用されるわけですが、この場合、弦の種類、矢の重さにも留意する必要があります。
 麻弦使用の場合でも、並寸は85センチまで、二寸伸は93センチまで、それ以上の方は、四寸伸以上の弓を使用した方が良く、弓にとって合成弦の使用は麻弦の数倍の負担がありますので、長目の矢、重い矢を使用すべきです(弱い弓の場合で1割前後、強い弓の場合は1割5分程度、麻弦のときより重い矢を使用)。なお矢束85センチ以下でも二寸伸、90センチ位でも四寸伸の弓使用が適している場合があります。

首折れの防止策

 首折れの多くは、合成弦使用時の空筈(からはず)から起こるもので、弓力に対して軽過ぎる矢の使用、あるいは弦の通りや低すぎる張り高、極端な緩みや握り締めなどの不用意な行射が原因で弓が反転し、起こります。
 合成弦は弓が反転しても切れないため首折れに至るのに対し、麻弦は弓力に適した太さの弦であったら反転の衝撃で切れるため折れることはほとんどなく、空筈の場合でも衝撃を軽減し、反転を防ぐ働きをします。
 弦を張ったら弦掛かり、弦の通り、弓把の高さ及び上関板と弦の間隔、中関と筈の調節、上下の成り等の調整をし、弓形を整えてから行射に入るように習慣づけて下さい。また中関をしっかり作るのは当然として、矢筈に丸ヤスリを使って筈溝の奥に膨らみを持たせる加工をしておくと、大きな効果があります(写真17)。

【写真17】矢筈の加工。丸ヤスリを使って筈溝の奥に膨らみを持たせる

 弓は弦を外した状態では、弱い力でも簡単に折れるような構造になっています。例えば上関板の一箇所を握って持ち上げたり、また上鉾を突いたり、当てただけで簡単に裂け割れが入ります。これが原因となり行射中、ある日突然、首折れを起こすこともあります。このような事態を防ぐため、弓を持ち歩く時には、長さ約30センチくらいの弓と同じ幅の板状の竹にヒモを付けた用具で、上関板から姫反にかけて保護しておくようにします(写真18)。
 また、大変重要な意味があるのに、意外とおろそかにされているのが、弓力と矢の重さの関係です。弓力に対して軽すぎる矢は空筈に近い状態になり、離れの衝撃を受け止めきれず反転につながることがあります。矢押しの良い弓ほど、軽い矢では性能通りの冴えた弦音は出ませんから、重めの矢をお使い下さい。なお、矢の重量については、表(Q2参照)を参考にしていただき、ご自分の射技との相性も考慮にいれながら、最も弦音の冴える組み合わせを見つけて下さい。
 首折れは、正常な行射においては絶対に起きないことです。首折れは不名誉な恥ずかしい故障と認識し、未然に防ぐように心がけて下さい。

【写真18】弓と同じ幅の板状の竹にヒモを付けた用具。上関板から姫反を保護する

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