都城弓のルーツ

 都城で作られる弓でありますが、薩摩弓といったほうが適当で、薩摩日置流の流れを汲んでおります。弓師三代目・楠見蔵吉氏所蔵の日置流系図によりますと、現在の蔵吉氏の五代前の楠見徳真氏が、寛永年間に生存の東郷左太夫実敬氏と、その子息か近親者と思われる文久年間生存の東郷源四郎実美氏から、弓の製法秘伝を伝授されたと思われます。その後、楠見善次氏~初代楠見蔵吉氏へと受け継がれて、その後、楠見氏は、明治20~30年代に鹿児島から都城市へその居を移されて、現在に至っております。
 昔は弟子入りするのが大変厳しく、息子か近親者に限り入門を許され、息子以外の弟子入りの場合は、厳格な契約書を差し入れて、入門を許されたようです。特に秘伝のニベづくりについては、最後まで秘密とされ、独自で会得して初めて独立できたようです。
 ここに師匠より独立する際、差し入れたものと思われる楠見氏所有の契約書の写しと昭和63年発行の『宮崎県弓道史』に掲載されました都城弓師系譜を、参考までに掲載いたします。
 なお服部系につきましては、故服部喜寿氏の弟子であった、故先代桑畑道信氏(一燈斉)生存中に確認をいただいて、『宮崎県弓道史』に発表されたものです。服部喜寿氏は、初代楠見蔵吉氏と同年代の人物です。  契約書をご覧になっても大変厳しい約束のもと、修行を積んで受け継がれていることがお分かりのことと思います。

契約書

〔内容〕
私はこれより貴殿(師匠)より大弓製作に関するすべての技術を教わります。(中略)伝授されたからといっても、楠見家との親交は継続し、力を合わせて両家の発展のための力を尽くし、後継者以外の人物に一人たりとも、秘伝を教えないことを固く約束し、保証人とともに契約書を交わします。

都城弓師系譜1

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都城弓師系譜2

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