最適な弓の長さ
Q8.弓の長さを選ぶ際、何を基準に決めればいいでしょう?
以前は身長160センチまでは並寸、170センチ前後は二寸伸、特に背の高い方は四寸伸弓を使用するのが通常でしたが、今は身長160センチでも90センチ以上の矢束を取る方も珍しくなく、身長と矢束の関連が以前とは異なってきています。御自分の最長の矢束を確認しておくことは不可欠であります。
ファイバー弓から弓道を始めた方は、先手を強く握り、捻り込む手の内になりがちで、笄を起こす大きな要因となります。強い先手の働きは鋭い矢飛び、弦子、的中を求めるには重要で、大事な射枝の一つであります。弓に負担の少ない、先手の剛弱を生かした柔らかい中押しの手の内の会得を目指すべきでありますが、これは日々の習練のなかで身につくものです。
かつてファイバー弓に馴染んだ方、笄を出した経験のある方、合成弦使用の方、先手の堅い方、左利きの方、20キロ以上の強い弓使用の方など一つでも該当したら、笄を出す可能性はあります。御自分の射枝の傾向、特性を考慮に入れ、柔軟に対応し、矢束に対して余裕のある長めの弓の使用が賢明であります。
長い弓は矢飛びが悪いように思われがちですが、並寸85センチ、二寸伸90センチ、四寸伸95センチで弓力計測するため、同じ弓力表示の場合、並寸が実際は強いことから生じる勘違いです。例えば二寸伸の15キロ表示は、並寸の矢束では14キロ弱に相当します。
日本弓の射法上、胸弦が長い弓ほど右奥にくるため「会」での安定感とたっぷり感があり的中の向上が望めます。
近年、特に若い人は矢束を長くとりますので、四寸伸の使用者も増え、女性の二寸伸使用の方も増えてきました。このことは理にかなった当然のことであると思います。
上記の並寸、二寸伸、四寸伸の各計測値が、取りうる矢束の限度と考えて良いと思いますが、ご自分の射の傾向を極力考慮して長さを決めることが肝要です。